Search Consoleの数字を見ても、どの記事から改善すべきか決められないことがあります。その場合は、検索パフォーマンスのデータをAIへ渡し、改善候補を整理させる方法が使えます。
ただし、AIに「SEOを改善して」とだけ頼むのは不十分です。クリック数、表示回数、CTR、掲載順位をページ・クエリと組み合わせ、データにないことは断定させない指示が必要です。
この記事では、Search Consoleから必要なデータを用意し、AIの提案を採用・保留・却下に分ける手順を解説します。
Search Consoleの分析でAIに任せる範囲
AIに任せるのは、数字の整理と改善候補の抽出までです。タイトル変更やリライトを実行するかは、人間が検索意図や記事内容を確認して決めます。
| 作業 | AIに任せる | 人間が確認する |
|---|---|---|
| 数値の集計 | ページ別・クエリ別の並べ替え | 集計条件と対象期間 |
| 改善候補の抽出 | 表示が多くCTRが低いページなどを列挙 | 検索意図と記事内容の一致 |
| 改善案の作成 | タイトル案や追記案を出す | 事実、重複、誇張の有無 |
| 優先順位 | 採用・保留・却下の仮分類 | 工数、収益役割、サイト方針 |
| 公開作業 | 任せない | 保存後の表示とSEO設定を確認 |
AIは判断材料を短時間で整理できますが、Search Consoleに表示されないデータや記事の運営方針までは自動で補えません。
AIへ渡すSearch Consoleの項目
最初は、検索結果の「クエリ」と「ページ」をそれぞれ出力します。対象期間は28日や3か月など、目的に合わせて固定してください。期間が違うデータを混ぜると比較しにくくなります。
AIへ渡す基本項目は次の6つです。
| 項目 | 確認できること | 注意点 |
|---|---|---|
| クエリ | どの検索語で表示されたか | 匿名化されたクエリは表に出ない |
| ページ | どのURLが表示されたか | 原則として正規URLへ集計される |
| クリック数 | 検索結果から訪問された回数 | 少数では偶然の影響が大きい |
| 表示回数 | 検索結果に表示された回数 | 検索需要そのものとは限らない |
| CTR | 表示に対するクリックの割合 | 順位や検索意図と合わせて見る |
| 掲載順位 | 表示された位置の平均 | 単独の順位ではなく平均値 |
GoogleのSearch Console公式ヘルプでは、クエリやページなどのディメンションでデータを分類できる一方、匿名化クエリやデータ行の省略があると説明されています。表にないクエリを「検索されていない」と断定してはいけません。
Search Consoleのデータを出力する手順
手動で分析する場合は、次の順番で出力します。
- Search Consoleで対象プロパティを開く
- 「検索パフォーマンス」を開く
- 検索タイプと対象期間を固定する
- クリック数、表示回数、CTR、掲載順位を有効にする
- 「クエリ」を選び、データを出力する
- 「ページ」を選び、同じ条件でデータを出力する
Search ConsoleはGoogle Sheets、Excel、CSVへの出力に対応しています。ただし、Googleのデータ出力に関する公式説明では、通常のレポートから出力できるのは代表的な最大1,000行とされています。合計値と表の行を同じものとして扱わないことが重要です。
小規模サイトなら画面上の行で傾向を確認できる場合があります。大量のクエリを持つサイトでは、通常出力だけで全データを分析したと考えないでください。
運営時は、複数ページをまとめて分析する場合はCSV、少数の数値を簡単に確認する場合はスクリーンショットを使い分けています。スクリーンショットでは対象期間や列が画像外に隠れることがあるため、期間、検索タイプ、指標名が見える状態で渡します。
AIへ渡す前にURLとクエリを匿名化する
外部のAIサービスへデータを渡す場合は、公開してよい情報だけに絞ります。サイトを特定できるURL、社名、顧客名、未公開商品名などが含まれていないか確認してください。
匿名化する場合は、元データとは別のコピーを作り、次のように置き換えます。
| 元データ | 匿名化後の例 |
|---|---|
| 完全な記事URL | ページA、ページB |
| サイト名を含むクエリ | ブランド検索 |
| 商品名や顧客名 | 商品A、顧客B |
| 公開できない検索語 | 非公開クエリ |
クリック数、表示回数、CTR、掲載順位は残します。数字まで消すと改善候補を比較できなくなるためです。
ChatGPTではCSVやXLSXなどのファイルを分析できます。OpenAIのデータ分析に関する公式説明では、分かりやすい列名を付け、1行を1レコードにし、使用する列や計算方法を具体的に伝えることが推奨されています。
AIへ分析を依頼するプロンプト
次のプロンプトは、改善候補を機械的に決定するのではなく、判断材料を整理するためのものです。
添付したSearch Consoleデータを分析してください。対象期間と検索タイプを最初に確認し、ページごとにクリック数、表示回数、CTR、平均掲載順位を整理してください。その後、改善候補を「採用候補・保留・却下」の3つに分類してください。各候補には根拠となる数値、想定される確認作業、データからは断定できない点を併記してください。却下する場合は、提案内容と却下理由を示してください。表に存在しないクエリを検索需要がないと断定しないでください。順位上昇やアクセス増加を保証する表現は使わないでください。
クエリデータとページデータを別ファイルで渡した場合は、無理に結合させず、それぞれの傾向を分けて説明させます。URLとクエリの組み合わせを正確に分析したい場合は、同じ条件で出力したデータかを先に確認してください。
改善候補を採用・保留・却下する基準
AIの出力は、そのまま実行せず3つに分類します。
採用候補
表示回数が一定数あり、平均順位が1ページ目後半から2ページ目前半なのに、CTRが低いページです。検索意図と記事内容が合っている場合は、SEOタイトルやメタディスクリプション、本文冒頭の改善を検討できます。
ただし、タイトルだけを変更する前に、対象クエリが記事の中心テーマと一致しているか確認します。一致していなければ、タイトル変更ではなく本文の不足や別記事の必要性を検討します。
保留
表示回数が少なく、平均順位も低いページです。CTRが0%でも、検索結果に数回しか表示されていなければ、タイトルの良し悪しを判断する材料が足りません。
公開直後の記事も保留対象です。観測期間を延ばし、インデックス状況や検索意図を確認してから再評価します。
却下
次の提案は、数値だけを根拠にしているため却下します。
- 0クリックの記事をすべてリライトする
- 平均順位だけで削除や統合を決める
- 少数の表示から検索需要が強いと断定する
- 全記事のタイトルを一括変更する
- AIが予測した効果を実測結果として扱う
公開前には、AIが作った文章自体の事実確認も必要です。確認手順は「AIで作った記事のファクトチェック手順」で解説しています。
匿名化した実データで追加確認候補を選んだ例
運営サイトのSearch Consoleで、直近3か月のページ別データを確認しました。サイト名、URL、実際のクエリは伏せています。
| ページ | クリック | 表示 | CTR | 平均順位 | 判断 |
|---|---|---|---|---|---|
| ページA | 0 | 101 | 0% | 11.2 | 追加確認候補 |
| ページB | 1 | 31 | 3.2% | 6.2 | 保留 |
| ページC | 0 | 15 | 0% | 16.6 | 保留 |
ページAは表示が101回あり、平均順位は11.2位でした。ただし、この時点では対象クエリや記事内容まで確認していません。数字だけで修正対象に決めず、対象クエリ、タイトル、説明文、本文冒頭が検索意図と一致しているかを次に確認する候補としました。
ページBは平均順位6.2位でクリックも発生しています。表示31回だけでCTRの良否を断定せず、クエリごとの意図を確認するまで保留にしました。
ページCはクリック0ですが、表示15回、平均順位16.6位です。タイトル変更だけで解決するとは判断せず、記事内容と観測期間を先に確認します。
この例は追加で確認するページを選んだ記録であり、変更後に順位やアクセスが増えた実績ではありません。
Search Console内蔵AIとの違い
Search Consoleには、一部ユーザー向けにAIでパフォーマンスレポートを設定する試験機能があります。実際の画面では「AIを使用してパフォーマンス レポートをカスタマイズする」という操作が表示される場合があります。
Googleの公式説明によると、この機能が行うのはフィルタ、比較、指標、表の選択です。表の並べ替え、データ出力、外部データとの比較、改善作業の実行までは行いません。また、生成されたフィルタが意図と一致しているか確認する必要があります。
内蔵AIは「見たいレポートを作る」用途、CSVなどを分析するAIは「改善候補を整理する」用途として分けると理解しやすくなります。
AI分析でよくある失敗
データが少ないのにAIの結論を採用する
運営中、アクセス数が少なく分析材料が足りない状況でも、AIが無理に結論を出したことがありました。具体的な提案内容は記録していないため、ここでは成功・失敗の効果までは断定しません。
表示回数やクリック数が少ない場合は、AIの回答が具体的でも根拠が十分とは限りません。「判断材料が足りない場合は結論を出さず、追加で必要なデータを示す」と指示し、少数データのページは保留にします。
合計値とクエリ表の合計が合わない
匿名化クエリやデータ行の省略があるため、レポート上部の合計値と表示されるクエリ行の合計が一致しないことがあります。AIへ渡す際は「欠落ではなくSearch Consoleの仕様が含まれる」と伝えます。
CTRだけでタイトルを評価する
CTRは順位、検索意図、ブランド検索の割合などで変わります。CTRが低いという理由だけでタイトルを変更せず、表示回数と平均順位を一緒に確認します。
新しい記事と古い記事を同じ基準で比較する
公開期間が違えばデータ量も異なります。公開直後の記事は、同じ3か月設定でも実際の観測日数が短くなります。公開日や更新日を別の列に追加すると、AIが判断しやすくなります。
AIの提案をまとめて実行する
複数の記事を同時に変更すると、どの修正が影響したのか追いにくくなります。変更対象、変更理由、実施日を残し、一定期間後に同じ条件で再確認します。
修正しても検索結果への効果を短期間では判定できない場合があります。短い観測期間だけで成功・失敗を決めず、同じ対象期間と指標で再確認できるよう変更前の数値を残してください。
Search ConsoleをAIで分析するときのチェックリスト
- □ 対象期間と検索タイプを固定した
- □ クエリとページを同じ条件で確認した
- □ クリック、表示、CTR、掲載順位を含めた
- □ URLや非公開クエリを匿名化した
- □ 匿名化クエリと行省略の制限を伝えた
- □ AIに断定できない点も出力させた
- □ 改善候補を採用・保留・却下に分けた
- □ 検索意図と記事本文を人間が確認した
- □ 変更内容と実施日を記録した
- □ 変更後の効果は同じ条件で再確認する
まとめ
Search ConsoleのAI分析で重要なのは、改善案を大量に出すことではありません。データの制限を残したまま、どの記事を確認するか絞り込むことです。
クリック数、表示回数、CTR、平均掲載順位をページ・クエリと組み合わせ、AIの提案を採用・保留・却下に分けてください。最後に検索意図、記事内容、運営方針を人間が確認すれば、数字だけに引っ張られた一括変更を避けられます。

